近年、結婚しても子どもを持たない「おふたりさま」夫婦が増えています。共働きで経済的に余裕があり、気の合うパートナーと穏やかな生活を楽しむ姿は理想的に見えますが、その裏には「老後に頼れる子どもがいない」という大きな不安も潜んでいます。
そんな“おふたりさま老後”に待ち受ける金銭的リスクと、それを回避するために必要な備えについて、終活の専門家・松尾拓也氏が実例を交えて解説しています。
ケース①:マンション購入が招いた老後破綻
郊外で賃貸暮らしをしていたMさんは、「家は資産になる」と信じ、43歳で35年ローンを組んでマンションを購入。月々の返済額は11万円と予想の範囲内でしたが、管理費や修繕積立金などを加えると、実際の負担は年185万円にも。
ところが50歳目前でリストラされ、再就職で年収は大幅ダウン。子どもの学費も重なり家計は大混乱。定年後は体調を崩し働けず、わずかな退職金もすぐ底を突いてしまいます。ローン返済が終わるのは78歳という現実に耐えきれず、マンションを手放すことになったのです。
今では「無理せず賃貸のまま、老後資金を貯めるべきだった」と後悔を口にしています。
ケース②:「退職金一括投資」で資産が半減
Yさんは退職金と相続で得た資金を使って、「外貨預金で老後資金を増やそう」と一念発起。セミナーで紹介された“新興国通貨”に一括で投資しますが、予想に反して通貨価値が下落。結果、資産は約半分に激減してしまいました。
本来、年齢を重ねてからの投資では「長期・分散・積立」が鉄則。しかしYさんは「短期・集中・一括購入」という真逆の手法を選んでしまったのです。
「もう二度と投資はしない」とYさんは肩を落としました。
ケース③:相続トラブルで消えた家賃収入
Kさんは再婚後、夫と2人で静かな生活を送っていましたが、夫の急逝により相続問題に直面します。夫が遺したアパートは、先妻の子ども3人との共有遺産に。Kさんには住居の「配偶者居住権」はあるものの、アパートは分割の対象に。
現金がなかったKさんは子どもたちに相続分を支払うことができず、最終的にアパートを売却するしかありませんでした。思っていたような家賃収入も得られず、老後資金は不安定な状態に。
「遺言書の存在があれば違ったのに」と、Kさんは悔しさをにじませています。
知識と準備が“おふたりさま”の老後を守る
これら3つの失敗に共通するのは、「知識の不足」と「準備の欠如」です。
住宅ローン:病気やリストラなどのリスクを織り込んだ計画が不可欠。
投資:高齢から始める場合こそ、リスク分散と長期的視点が重要。
相続:遺言書や財産分割の知識が、トラブル回避のカギ。
「老後はまだ先のこと」と思っているうちに、備えるチャンスは過ぎ去ってしまいます。だからこそ今、知識を身につけ、万全な準備をしておくことが「幸せな老後」への第一歩なのです。
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